「ゼロ」の瞬間

『高校の体育祭のスウェーデンリレー』

もうかなり昔の話ではありますが、高校2年の時の体育祭での話です。

当時、短距離(50m~1500m位まで)であれば、足は速かった方でリレーでもアンカーを任されてました。

そのリレーでスウェーデンリレーというのがあり、確か1人目、二人目は半周、3人目は1周、4人目は1周半、5、6人目は2周

という様に後ろになればなるほど距離も多く走るといった様なリレーで私はアンカーで2周程走る事になっていました。

1周、たぶん170~180m位のトラックだったと思うので、それなりに走る距離はあったと思います。

私、入場の時から、当時集中していたからだと思っていたのですが、全くと言っていいほど、その時の状況を覚えていません。

覚えているのは、し~んとした静寂の中に、

「竹井頑張れ~」「もう少しだ」「ラスト」という私への声援がかすかに聞こえた気がするのと、

私がバトンを受けた時点ではほぼ周回遅れ寸前でダントツビリという事だけでした。

5位のチームとも半周近く離れていたらしいです。

でも不思議とそんな事は、あまり気にならずに、静けさの中に自分へ応援してくれている声だけが
自然と耳に入っている感覚の中、バトンをもらい、気付いた時にはゴールまであと1/4周位の所で、
目の前に3位のチームがいました。

そこから正気に戻った感じで、それ以降は足が鉄の様に重くなり力が全く入らず、
そのまま3位までのチームが進める決勝に進む事が出来ませんでした。

その時の、気付いたら瞬間移動していたという位の
その瞬間は何の雑念も無く無の状態で、
走っている事すら感覚も無いままにふわっと時間だけが進んでいた。

自分の力では無い何か自然体の中での能力以上の力。

そんな体感イメージをもう二度と忘れない様にしよう。

そしてまたもう一度味わえる事を信じて。